【天然vs合成?!】科学で読み解く、健康と環境に優しい蚊取り線香

夏の暮らしに欠かせない蚊取り線香。
しかし、その煙の成分まで気にしたことはあるでしょうか。

昔ながらの「除虫菊」の煙は、天然の殺虫成分「ピレトリン」によって蚊の神経伝達を一時的に阻害し、素早く無力化します。これは人やペットの体内酵素によって速やかに分解され、蓄積しにくい性質があります。

一方で現在市販されている多くの蚊取り線香や殺虫スプレーは、ピレスロイド系合成殺虫剤(ピレスロイド類)を使用。これは自然界のピレトリンを化学的に改変して耐光性・持続性を高めたもので、分子構造が安定しすぎるため体内脂肪や神経組織に長期残留しやすく、酸化ストレスや神経細胞膜への慢性的な影響が懸念されています。

この記事では、分子栄養学的な視点から天然ピレトリンと合成ピレスロイドの作用メカニズムの違い、安全性の根拠、そして家庭での賢い選び方を徹底的に解説します。

あなたの健康と判断力を守る蚊取り線香の選び方を一緒に学びましょう。

⚠️ 何かを否定したり攻撃したりという記事ではありません。知識力を高めて、暮らしの中でそれぞれがより良い選択をできるように判断材料となればと思います。

目次

蚊取り線香は“成分”で選ぶ時代|天然と合成の分子レベルの違い

あなたと家族の健康を守るためには、蚊取り線香の「成分」を見て選ぶことが重要です。特に天然の除虫菊由来のピレトリンと合成ピレスロイド系殺虫剤では、安全性と体への影響が異なります。

天然ピレトリンは昆虫の神経を麻痺させる一方で、哺乳類では短時間で分解され蓄積性がほとんどありません。対して合成プレスロイドは分解されにくく脂肪組織や神経細胞膜に残留しやすいため、慢性的な酸化ストレスや神経炎症の可能性が分子栄養学的にも懸念されています。

例えば、天然ピレトリンは光や酸素で数時間以内に分解されますが、合成プレスロイドは数日〜数週間残留します。この残留性により細胞膜の柔軟性が低下し、栄養素やイオンの出入りが阻害されることがあります。また解毒の過程でビタミンEやグルタチオンといった抗酸化物質が大量に消耗されるため、体は酸化ダメージを受けやすくなります。

つまり、同じ「蚊取り線香」でも成分によって健康リスクは大きく変わります。自分の体調や生活にあった殺虫剤や防虫剤の選択ができるように、まずは“知ること”が大切です。

1. 天然殺虫成分「ピレトリン」とは

除虫菊(シロバナムシヨケギク)の花には、天然の殺虫成分「ピレトリン」が含まれています。

ピレトリンは昆虫の神経細胞膜に存在する電位依存性ナトリウムチャネルに結合し、開閉を阻害します。その結果、ナトリウムイオンの流入が制御できず神経信号が暴走し、筋肉が痙攣→麻痺→呼吸停止という流れで昆虫を死に至らせます。

哺乳類では、このピレトリンはエステラーゼ酵素によって短時間で加水分解され、尿や胆汁を通して体外へ排出されます。また血液脳関門を通過しにくく、中枢神経への直接的影響が小さいため短期使用では安全性が高いとされます。

2. 合成「ピレスロイド」系殺虫剤との違い

ピレスロイド系は天然ピレトリンの構造を化学的に改良した合成殺虫剤で、アレスリン、フタルスリン、ペルメトリンなどが代表例です。改良の目的は「光や酸素に分解されにくくすること」と「効力を長時間持続させること」。

しかしこの性質は、人体や環境にとっては分解されにくい=蓄積しやすいというリスクにもなります。

脂溶性が高いため体内の脂肪組織や神経細胞膜に長期間残留し、慢性的な曝露では酸化ストレスや神経炎症の可能性が懸念されています。


合成ピレスロイド一覧(Wikipediaより引用)

  • D-テトラメトリン(別名フタルスリン)C19H25NO4、分子量331.4、CAS登録番号7696-12-0。
  • レスメトリン C22H26O3、分子量338.5、CAS登録番号10453-86-8。
  • フラメトリン C18H22O3、分子量286.4、CAS登録番号、CAS登録番号23031-38-1。
  • フェノトリン C23H26O3、分子量350.45、CAS登録番号26002-80-2。疥癬の治療のために外用する場合がある。
  • メトフルトリン C18H20F4O3、分子量 360.34、CAS登録番号240494-70-6。
  • トランスフルトリン C15H12Cl2F4O2、分子量371.15、CAS登録番号118712-89-3。
  • シフェノトリン C24H25NO3、分子量 375.47、CAS登録番号39515-40-7。
  • ベラトリン C18H21ClO4、分子量 375.47、CAS登録番号70-43-9。
  • エトフェンプロックス(別名ベクトロン)C25H28O3、分子量376.49 CAS登録番号80844-07-1。菊酸エステルでなくエーテル構造を持つ。
  • モンフルオロトリン C19H19F4NO3、分子量 385.35、CAS登録番号609346-29-4。
  • ペルメトリン C21H20Cl2O3、分子量 391.29 CAS登録番号52645-53-1。疥癬の治療のために外用する場合がある。
  • シフルトリン C22H18Cl2FNO3、分子量 434.29、CAS登録番号68359-37-5。毒劇法で劇物に指定されている。
  • テフルトリン C17H17ClF7O2、分子量 418.74、CAS登録番号79538-32-2。毒劇法で毒物に指定されている。
  • ビフェントリン C23H22ClF3O2、分子量 422.87、CAS登録番号82657-04-3。毒劇法で劇物に指定されているものの、2%以下は普通物である。
  • シラフルオフェン C25H29FO2Si、分子量 408.58、CAS登録番号105024-66-6。

3. 分子栄養学的に見た健康への影響

分子栄養学の観点では、ピレスロイド系の脂溶性分子は細胞膜、ミトコンドリア膜、神経鞘に取り込まれ、膜流動性を低下させます。これは細胞の「栄養素やイオンの出入り」を妨ぎ、エネルギー産生(ATP生成)や神経伝達の正常化を阻害する可能性があります。

脳の60%は脂質でできています。

またピレスロイドを分解・解毒する際には肝臓のグルタチオン抗酸化ビタミン(ビタミンE、C)を大量に消費します。この消耗が続くと、体は酸化ストレスに弱くなり疲労感・集中力低下・末端のしびれなどの神経症状が出やすくなります。

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4. 健康と環境を守るための選び方

蚊取り線香を購入する際は、成分表示を確認すると良いでしょう。

安全性を優先するなら、「除虫菊」「ピレトリン」と明記された天然由来製品がおすすめです。

逆に「アレスリン」「フタルスリン」「ペルメトリン」などの化学名がある場合はピレスロイド系のため、健康を案じるのであれば屋内での常用は避けるなどの工夫が必要かもしれません。

またどんな製品でも室内で使用する場合は換気を行い、吸入量を減らすことが大切です。特に小さなお子さんやペットがいる家庭では天然由来の短時間使用が安心です。

まとめ

この記事では、天然除虫菊由来のピレトリンと、合成プレスロイド系殺虫剤の違いを解説しました。

  • ピレトリンは短時間で分解され、蓄積しにくい
  • ピレスロイドは分解されにくく、脂肪組織・神経に残留しやすい
  • 合成殺虫剤は酸化ストレスや膜機能低下の懸念あり
  • 安全性と環境負荷を考えるなら「除虫菊」「ピレトリン」表示の製品を選ぶ

家族やペットの健康を守りつつ環境にもやさしい暮らしができますように。

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